【買い物支援・交流拠点】共同売店を作り、さらにそれを超える仕組みを考える

今帰仁村字諸志(なきじんそん あざ しょし)

諸志共同売店(しょしきょうどうばいてん)

 

買い物支援や住民の交流の場としての共同売店を存続させる。

 

農業☓交流拠点☓買い物支援という、地域に必要なものを掛け合わせる。

 

沖縄で最初の「やんばる珈琲ツーリズム」をスタート。他との差別化を図る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

諸志共同売店

場所:沖縄県国頭郡今帰仁村諸志65   電話:0980-56-4605

オープン時間:7:00AM〜9:00PM 火曜定休

活動開始時期:大正時代頃



車を持たないお年寄りや

住民の情報交換の場


 沖縄には「共同売店」と呼ばれる「村よりも小さな単位(字、小字、区)ごとの住民が共同で出資して運営する商店」がある。

 沖縄本島北部にある国頭村の「奥」という地区で明治末期に誕生したのが沖縄の共同売店第1号であり、現在も運営を続けている。現在の「農協」や「生協」などの協同組合組織に似ているが歴史はそれよりも古い。

 国頭郡今帰仁村には2つの共同売店がある。そのうちの一つが大正時代に開店したとされる「諸志共同売店」である。現在は築60年以上の古民家で営業している。

 入ってすぐの右手側には、ゆんたく(おしゃべる)をするスペースが設けられ、住民の憩いの場所となっている。

 スーパーで売られているような日用品だけでなく、地元で採れた珍しい木の実や平飼いの鶏の卵、手作りのお土産なども販売されている。

 諸志地域は「明治36年に諸喜田村と志慶真村が合併した村(現在のアザ)である。そのため二つの神ハサギがある。国道505号線を横切るように諸志御嶽の植物群落(国指定)がある。 亜熱帯地域の石灰岩の上に形成された植物群落の極相状態の森である。中城ノロ殿内があり、中城ノロは崎山・仲尾次・与那嶺・諸喜田・兼次の五力村の祭祀を掌るノロである。集落内に焚字炉(フンジロ)(村指定)があり、佐田浜には赤墓がある」(今帰仁村役場HP)。人口364 人(男179、女185)、世帯数178 世帯である(平成29年4月現在)。

 

写真左上から時計回りに、「入って右すぐにあるゆんたくスペース」、「店内」、「外観」、「地元の珍しい物も並ぶ」



「農業」☓「交流拠点」☓「買い物支援」

地域に必要なものを掛け合わせる


 「諸志共同売店」を任されている一人が、金城重信氏である。

 今帰仁村諸志出身の金城さんは那覇での会社員生活を経て、腰を痛めて離農した実兄が営むマンゴー農家を2015年2月に継いだ。それまではサラリーマン生活の傍ら週末農家をしていたが、これを機に本格的に農業に従事するようになる。

 現在では沖縄産のマンゴー、パパイヤ、コーヒーの栽培を手がけている。

 金城さんは、本格的に農業に従事する中で、農家の高齢化や後継者問題、耕作放棄地の問題などに直面する。時代に合った共同売店のあり方を模索しながら、同時に、そのような地域の問題をどう解決していくべきかも考えている。

「店舗を切り盛りする金城重信氏」(写真左)、「定休日は火曜」(写真右)



やんばるのコーヒーをブランド化し、

共同売店併設のカフェから発信


 「諸志共同売店」に併設されているのが「古民家カフェ 花野果(はなやか)」である。

 カフェを切り盛りするのも、前述の金城さん。自ら栽培している沖縄産コーヒーをカフェ限定メニューとして提供するなど、特徴を打ち出している。

 また、共同売店とカフェ、農園を結びつける形で、コーヒーチェリーの収穫体験から焙煎までできるツアーも行っている。

 さらに、金城さんは、2017年4月、沖縄県北部でコーヒーを栽培する農家5人と共同で「やんばる珈琲ツーリズム協会」を設立、会長に就任した。やんばるのコーヒーをブランド化し、地域産業の活性化や観光集客に結び付けるのが狙いだ。

 カフェと共同売店の間は仕切りがない。訪れた観光客も売店で気軽に買い物ができ、地域住民との自然な交流が可能となっている。

写真左上から時計回りに、「カフェ側の壁には、カフェのメニューの看板が大きく掲げられている」、「カフェの座敷スペース」、「外にはコーヒー豆の焙煎カウンターが設置されている」、「カフェのテーブルスペース」